課題:裁判規範の1つとして、刑事訴訟法319条1項がある。この規定の機能について論じなさい。
法学
自白法則の制限
刑訴法319条1項は「強制、拷問又は脅迫による自白・不当に長く拘留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることはできない」として、任意性を条件として自白に証拠能力を認める自白法則を採用している。強制、拷問又は脅迫では任意性に疑いがあり、証拠とは認められない、また自白しか有罪を根拠づけるものがない場合には、他の補強証拠がない限り、有罪にすることはできないとしているのである。
このように、自白に特別な制限があるのは、自白に頼った刑事裁判が幾多の冤罪をうみ出してきたという反省と、その反面、捜査実務がいかに自白追求に走ってきたかという証左にほかならない。その上、捜査官が沈黙権をないがしろにして自白を強要すれば公務員職権乱用罪、拷問がなされれば特別公務員暴行陵虐罪に問われるのである。このようにしてみると、自白法則には捜査上の規範が含まれているということが考えられる。
法規範の構造
また、この刑訴法319条1項には強い法規範があるといえる。私たちが、社会生活を営むにあたって任意的な「かくなすべきである」や「かくなすべきではない」とす...