近年、テレビや新聞などで虐待という言葉をよく耳にするようになった。現在、虐待の増加が大きな社会問題となり深刻、複雑化している。虐待が特に表面化するようになったのは、2000年、児童虐待の防止等に関する法律が施行されてからである。こういった社会現象から、虐待への関心は、高まってきているようである。しかし、虐待の背景・要因・子どもたちへの影響や障害・予防法などは、あまり知られていない。虐待という言葉が社会問題として取り上げられても、虐待の動機・誘因を明らかにしなければ、問題解決の道は開かれない。
近年、テレビや新聞などで虐待という言葉をよく耳にするようになった。現在、虐待の増加が大きな社会問題となり深刻、複雑化している。虐待が特に表面化するようになったのは、2000年、児童虐待の防止等に関する法律が施行されてからである。こういった社会現象から、虐待への関心は、高まってきているようである。しかし、虐待の背景・要因・子どもたちへの影響や障害・予防法などは、あまり知られていない。虐待という言葉が社会問題として取り上げられても、虐待の動機・誘因を明らかにしなければ、問題解決の道は開かれない。
日本で虐待が増加した背景にはまず、人々が虐待に対して敏感になったことが考えられる。社会全体において子どもの人権についての意識が高まったことなどにより、虐待として認知される範囲が拡大した。しかしそれだけでなく、望まぬ妊娠など、親になる人の自覚の低下や精神未成熟、経済的問題や人間関係、社会からの孤立、家庭状況、子供自身の要因、親子関係など、多くの要因が複雑に絡んでいる。近年、核家族や、働きながら子どもを育てる家庭、母子家庭など、家族形態も多様化している。都市化や核家族化が進行する中、親が地域社会から孤...