「保健医療サービスの変化と社会福祉士の役割、保健医療サービス連携の理論と実践について述べよ。」
産業革命と市民革命を経て近代社会が成立して以来、医療と福祉は密接な関係にあった。
保健医療サービスのシステム形成の端緒は疾病や障害に起因した貧困への対応にみることができる。医療技術の進歩や衛生状態の向上、社会保障制度の整備などにつれ、先進諸国において疾病と貧困の悪循環は一定程度改善されたが、世界全体でみると、現在でも保健衛生状態が悪く、貧困の中で健康を損ねている人は多い。
人間の生活基盤を支える生命と健康に関する問題は、いつの時代にも医療・福祉の重要なテーマであり、医療と福祉は相即不離の関係にある。
しかし、わが国の近代の保健・医療・福祉に関する制度はそれぞれ別個に形成、展開されてきた。
これまでは個々の人びとが、求める保健・医療・福祉それぞれのサービスに、患者本人や家族が別々にアプローチをし、自ら問題解決に必要な環境を整備してきた。
とはいえ、世の中のすべての人が簡単に保健・医療・福祉の情報を把握し、なおかつそれを駆使することは不可能である。
そこで、社会福祉士(以下ソーシャルワーカー)が...