佛教大学通信 「日本の歴史」
第1設題
「鎌倉幕府と執権政治について」のレポートです。
はじめに
「執権」とは鎌倉幕府の役職であり、幕政を統括した最高の立場である。第三代将軍源実朝の時、北条時政がこの職に就任し、以後北条氏が世襲することとなった。鎌倉幕府において執権が中心となって国を治めるという政治形態は、一般に「執権政治」と呼ばれている。そしてこの政治形態は、時に北条氏の独裁体制の代名詞としても用いられる「得宗政治」という形態へと展開することとなった。ところで、そもそも初代将軍である源頼朝が開いた鎌倉幕府において、なぜ・どのようにして「執権政治」が成立することになったのか。そしてそれはどのような発展を遂げることとなったのか。本レポートではこうした基礎的な問いを導きとして、「執権政治」の成立と展開を軸に鎌倉幕府のあり方を考察する。まずは初期鎌倉幕府における「執権」の成立過程を記述し(一)、次に「執権」が実質的な幕政の中心となる「執権政治」の成立の段階を確認する(二)。そして最後に、北条氏の嫡流である「得宗」の絶大な勢力を背景に「執権」がもはやそれほど重要ではなくなるような「得宗政治」の段階を記述する(三)。
鎌倉幕府における「執権」の成立
一一九二年に源頼朝が征夷大将軍...