1、まず、現代の民主主義の歴史的起源は、古代ギリシャにさかのぼる。デモクラシーの語源は古典ギリシャ語の「デモクラティア」である。当時、民主主義は政治的決定への民衆の直接参加、つまり、直接民主主義を意味していた。アリストテレスによる政治体制の分類において、民主主義は無知蒙昧な民衆による支配であり、堕落した政治体制と否定的に捉えられた。このような見方は続き、民主主義にプラスの評価が定着するようになったのは、20世紀に入ってからであった。
近代になり、合理主義的思想に基づいて旧弊を打破し、理性による社会の建設を目指そうとする啓蒙主義以降、デモクラシーという語は多様な意味合いを持つようになったが、古典的政体分類論における意味を中核として残しつつ、主権の根拠を自由で同格な市民による合意とみなす社会契約論的な意味合いが加わっている。この民主主義は、政治権力の起源と目的に関する規範的な共和主義的、啓蒙主義的政治思想を意味する言葉でもある。
民主主義の思想内容は、政治権力の形成・執行への民衆の参加を重視しており、権力は必ずしも悪ではなく、民衆の平等を実現するためには権力の積極行使も肯定され、『権...