*透析療法の特徴と対象への看護*
《透析とは》
腎臓の機能が低下または廃絶し(腎不全)、体内で代謝された老廃物や過剰な水分・電解質が蓄積する(尿毒症)と、心臓、肺、脳、消化管など全身の臓器に悪影響を及ぼし、生命に関わる臓器障害がもたらされる。透析とは、半透膜(血液透析では合成膜、腹膜透析では腹膜)を介して溶質(老廃物や電解質)が移動する現象である。透析治療ではこの原理に基づき、不全状態に陥った腎臓の機能を代行し、透析器あるいは腹膜を介して老廃物や過剰な水・電解質を取り除き、体液を浄化する。
透析療法には大きく分けると血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の2種類がある。これらの透析療法は急性腎不全、慢性腎不全の治療に主として用いられるが、その他に高K血症や高Ca血症の緊急治療としても用いられることがある。
打撲、交通事故などによる急性腎不全の場合には緊急透析(急性透析)を必要とする。緊急透析は血清Kが高値になり致死的不整脈(心房細動)が起こるのを防ぐためと、BUNなどが急激に上昇し尿毒症症状が著名になったときに行う。
維持透析(慢性透析)が必要な場合、は慢性腎不全が徐々に進行し、...