「社会保障の役割と機能について」
わが国の日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の増進に努めなければならない。」と国民の生存権を保障している。
社会保障とは、「国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民に健やかで安心できる生活を保障することを目的として、公的責任で生活を支える給付を行うもの」と定義されている。私たちの生活は、病気や事故、失業、退職など生活を不安定にする要因に脅かされている。社会保障とは、そのような要因によって、貧困な状態に陥らないようにすること(防貧)、また、貧困な状態にあるものを救済すること(救貧)を目的としたシステムのことである。
社会保障という用語がはじめて用いられたのは、1935年に制定されたアメリカの社会保障法である。また、イギリスでは世界に先駆けて第二次世界大戦中に社会保障構想が立てられた。1942年に発表されたイギリスの「社会保険および関連サービス-ベバリッジ報告」では、「ゆりかごから墓場まで」をキャッチフレーズとして、全国民が国民生活における...