「個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について述べよ。」
ケースワークとは、主に個人や家族を対象にした社会福祉の援助方法の一つである。ケースワークの特徴は、個人と環境との相互作用に焦点をあて、個人の内的変化と社会環境の変化の双方を同時に視野に入れて援助過程を展開する点にある。
〈ケースワークの理論〉
ケースワークはソーシャルワークの中心として発展してきた歴史をもつ。その原型はアメリカにおける慈善組織協会(COS)の友愛訪問員の活動とされている。
20世紀初頭に、「ケースワークの母」と称されるM.リッチモンドがケースワークを科学的に体系づけた。リッチモンドはケースワークを「人間とその社会環境との間を個別に、意識的に調整することを通して、パーソナリティを発達させる諸過程からなっている」と定義づけた。さらに、リッチモンドはケースワークを利用者と環境相互への働きかけを重視し、調査、診断、治療の過程を通して計画的な援助を進め、利用者の人格の発達を目指すものであると理論づけている。特に、情報収集による心理社会的診断の必要性を説き理論化したことは、ケースワークを慈善的・経験的なものから、...